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デッドボール

先日ふらっと立ち寄った図書館で一冊の本に出会った。『週末の縄文人』のタイトルに心をくすぐられ、本を開いた。平日は東京のサラリーマンの2人が、週末だけ縄文時代の暮らしを体験するというもの。どうやらYouTubeもやっているようだ。
海辺の石で石斧を作ったり土を掘り粘土から土器を作り、手の感覚を取り戻す体験や、縄文の衣を求めて植物から糸を紡いでみたり。どれも特別な道具に頼らず、体と自然をゆっくり近づけていく。これらは単なる「古代ごっこ」にとどまらず、著者の日常に小さな変化をもたらしていく。火をつけるのに時間がかかる経験から、コンロのワンタッチ点火が「便利」ではなく「ありがたい」と感じられ、採集で季節に意識が向くことで、通勤途中の街路樹の色づきにも目が止まるようになったという。
忙しい毎日では時短が優先されがちだが、手間のかかる体験にも価値があると気づく。時間がかかる分、手の感覚や体の使い方、季節の匂いが戻ってくる。時間を節約するだけでなく、時間を味わう余白が自然から遠ざかっている現代にこれから先、もっと必要とされてくるのかもしれない。
そして偶然、友人からも縄文人を勧められ自分たちでも縄文体験しようと縄文会が発足されたのであった。  (S・H)