デッドボール
休日。時間に余裕のある朝は、コーヒーを豆から手廻しミルで挽き、サイフォンで淹れることがある。
サイフォンは理科室にあるような耐熱ガラス製の丸底フラスコやロート、アルコールランプなどを用いるコーヒー抽出方法の一つだ。まず、下のフラスコに湯を入れ、アルコールランプに火をつけて加熱沸騰させる。上のロートへはコーヒーの粉を入れておく。ロートをフラスコに挿し込むと、蒸気の圧力で湯が上のロートへと押し上げられていく。コーヒーの粉と湯を竹ベラで少し撹拌したあと火を止めれば、今度はコーヒーの液だけが布のフィルターを通って下のフラスコへと戻っていく。ガラスの中で湯が上がり、ゆっくりとコーヒーが落ちてくる様子は視覚的にも楽しめる。
コーヒーの豆はシングルオリジンと呼ばれる、一つの産地や農園の豆を選ぶことが多い。同じコーヒーでも、エチオピア産なら花や果実を思わせる香り、グアテマラ産ならしっかりとした甘み…というように個性がそれぞれにある。さらに同じ原産国でも農園や標高・精製方法によって味が大きく変わるのも特色だ。
サイフォンから立ち上る香りを楽しみながら、遠い国の風景に思いを巡らせる時間もまた、コーヒーの魅力なのだと思う。
(S・S)